2019年5月10日金曜日

デミジェンコのラフマニノフ

デミジェンコは好きなピアニストだ。少し硬いというか、まじめな感じがいい。
テクニックも抜群で、ラフマニノフの曲も「なんてことない」という風に弾いているけれども、実は技術的に難しい曲です、ということが多い。もちろんプロのピアニストなのだから、弾けて当然なのだが、「難しい曲だぜ!」ひけらかす感じがちっともしない。素人に自分も弾いてみたいと思わせる危険がある。ロシア人ピアニストで、日本ではそんなに有名でないような人は、こういう人が多いような気がする。
このCDの曲は「音の絵」と「前奏曲」の抜粋、そして「楽興の時」全曲。
Op.39-5はどっしりとしていて重い! この曲のたくさんの複雑な音をすべてブルドーザーショベルですくいとって圧し進む。テンポプリモ地点に向かっての圧し進み方がすごい! そしてテンポプリモの後も、pesanteにも限度ってものがあるだろ!と突っ込みたくなるくらいの重量感! コーダも左手の音型にもかかわらず、波のようなうねりはあまりなく、むしろ巨人が遠くに去っていく感じがある。(演奏時間6'11)
Op.23-5は最初ズンダダダッとだんだん重く寄せてきて、中間部に入る手前で少しずつブレーキかけ、さて中間部キラキラと来るかとおもいきや、華やかは嫌いというか、美しくみせたくないというか、潜伏していますよ徐行してますよ感たっぷりに行き、再現部に入るまで少しずつクレッシェンドかけていくやり方がすごくストイックでぐっときた。
他の曲もすばらしいのでぜひ聴いていただきたい。

CDA66713
NIKOLAI DEMIDENKO plays Rachmaninov

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