2024年1月13日土曜日

カバレフスキー ロミオとジュリエット 他

比較的近い時代の有名な曲にプロコフィエフのバレエ音楽「ロミオとジュリエット」がありますが、カバレフスキーのこの曲も有名になってほしい作品。カバレフスキーは子供向け作品のイメージが強いのか、いまいち日本で演奏されることが少ないですが、実は美しいメロディの作り手なのです。ロシア民謡を元にしたロシア風味の作品ももちろんですが、現代的な雰囲気の作品にも美しく抒情的な性格が潜んでいます。

ほかに収められているリヴォフのヴァイオリン協奏曲ですが、リヴォフはロシア人作曲家あるあるの本職は軍人です。ロシア正教の教会音楽やオペラも作曲している、ヴァイオリンの名手です。

グラズノフの第9番交響曲はピアノスケッチのみの未完だったのを、指揮者・作曲家ガヴリール・ユージン(ピアニスト、マリヤ・ユージナのいとこ)が完成させました(オーケストレーション)。

OCD147
A RUSSIAN CONCERT NO.2


2024年1月8日月曜日

ヴェデルニコフ J・S・バッハ パルティータ全曲

 バッハを聴いて、こんなに心揺さぶられたことはない。というほどの深いパルティータの演奏。正確無比なテクニックなのに、冷たさが感じられず、パルティータの各曲の構造を解き明かしていくだけでなく、そこに感情が乗っている。特に短調の微かな悲しみ、心の微細な肌理に染み入ってくるような音に、「バッハなのに」こんなにも心を動かされている自分。

自分は普段あまりバッハを聴かないので、こんな感想しか書けないが、自分のバッハのイメージが覆されるような演奏だった。特に第3番イ短調が心に残る。ヴェデルニコフ、おそるべし。すばらしいピアニストなのに、あまり知られていないのが残念。

BVCX-37001-2



2024年1月6日土曜日

橋本國彦 交響曲第1番 他

 昭和初期に主に作曲家として活躍した橋本國彦。東京音楽学校(現 東京芸術大学)教授として、芥川也寸志、團伊玖磨、矢代秋雄、黛敏郎らを教えました。

交響曲第1番は皇紀2600年を祝う曲として依頼され作曲されたもので、第3楽章は変奏曲形式ですが、そのテーマが伊沢修二作曲「紀元節」だそうです。

作曲の経緯はともかくとして、個人的にハマったのが第2楽章。作曲家自身、琉球風のメロディを使ったと後に記述したそうですが、明るくリズミカルな異国情緒あふれるメロディが楽器を変えて繰り返されるAパート、一転して日本風なリズムと音階のBパート、そして再び琉球風のA'パートの三部構成。AA'パートの盛り上げ方はラヴェルの「ボレロ」風です。リズム感が後の芥川也寸志に似ているような気がします(アレグロ・オスティナートの中間部分のような)。シンコペーションの感じなどが。

とにかく一度聴いたら耳から離れないメロディとリズム。頭に残りすぎて、ときどき別の作業の邪魔をされます。

NAXOS 8.555881J
Qunihico HASHIMOTO
Symphony No.1 in D
Symphonic Suite "Heavenly Maiden and Fisherman"




2023年12月31日日曜日

ヒンデミット 交響曲変ホ調 他

 曲が大きい。コンクリートの巨大ブロックを次々に積み上げていくようだ。とてつもなく大きな工場のなかで、バーンスタイン工場長の下、形の異なるいくつもの固いブロックが次々と運ばれては積み上げられていく。タッタカター、タッタカターターと。白黒の無声映画で工場シーンを見ているような気分になる。休憩をはさんで、午後も仕事にとりかかる。さあ、ノルマ達成だ。わー。

ウェーバーの主題による交響的変容。どの楽章も印象深いメロディがさらに印象深く加工されていますが、とりわけ第1楽章の導入部分は元々「ジプシー風」で頭に残るメロディを、立方体風にヒンデミットらしく展開しています。第4楽章も同様。もともと「行進曲」ですが抒情的なアナログな曲が、ヒンデミットにかかると周波数を矩形波に直したかのよう。切れ味よく、かっこいいです。

SMK 47 566
LEONARD BERNSTEIN Hindemith:Symphony in E-flat
Symphonic Metamorphoses
Concert music for strings and brass
New York Philharmonic



2023年12月30日土曜日

デミジェンコのスクリャービン

 こってりとも違う、どっしりとも違う、クセ強とも違うデミジェンコ。独特のテンポ感と間合いが洗練と泥臭さのちょうど中間にあって、何とも言えない独特の雰囲気を醸し出します。

冒頭のスクリャービンのピアノソナタ第2番は、もやっと幻想的で美しいですが、内にこもる感じの演奏です。それに対して「炎に向かって」は文字通り炎に攻めるように外へ向かってます。黒ミサはその中間の演奏でしょうか。

「束の間の幻影」は冷めたところのない、落ち着いた演奏。デミジェンコの演奏はいつでもどれでも、テンポ遅め、ちょっと遅れてスタートする長距離走のような、不思議な演奏。そこが好きなんですが。


CONIFER 75605-51204-2


2023年12月17日日曜日

ロシアの聖餐式

 ロシア正教の聖歌。作曲者にはリヴォフ、グレチャニノフの名も。グレゴリオ聖歌のようにモノフォニーではなく、ポリフォニーです。伴奏があり、堂々とした構造物のような、歌です。男声の迫力ある響きで、グレゴリオ聖歌をイメージして聴くと、まったく違う世界に驚かされます。

NAXOS 8.554150
RUSSIAN DIVINE LITURGY



2023年12月16日土曜日

ロシア・ソヴィエト行進曲集

 CCCP時代の国歌に始まって、インターナショナル、ロシア帝国時代の行進曲が収録された1枚。グリンカ作曲のロシア連邦国家も収録。しかし現在は歌詞を変えて、元のソヴィエト時代の国家を使用していますね。

運動会の入場行進などでおなじみの、「双頭の鷲の旗の下に」も「Eagle」というタイトルで収録されていますが、作曲者不詳になっている。なぜ? ハプスブルク帝国人だから、スルーされた?

つらつらと全曲聞いてみて、印象深かったのは、インターナショナル、ノスタルジアマーチ(郷愁のマーチ)、プレオブラジェンスキ連隊行進曲でした。プレオブラジェンスキだけテンポがほかの曲より若干遅めです。プレオブラジェンスキ連隊は歴史の古い近衛兵連隊で、主に貴族の子弟が入る名誉ある隊でした。ムソルグスキーは短期間ですがこの連隊に所属していたようです。

OLYMPIA OCD 555
Soviet and Russian Marches