子供のための曲を多く書いているカバレフスキー。前奏曲は特別子供向けではありませんが、「カバレフスキー 子供ピアノ名曲集」にこの第2曲と第8曲が収められていました。
この第8曲がくせ者で、テクニック的におそらく平易なため「こども」曲集に収められたのでしょうが、曲想は大人向けだと思います。この茫洋とした暗がりの向こうに見える光をこどもはどうやって理解して弾けというのでしょうか。こどもは結局、弾けても弾けない(指は動くが曲としてまとめられない)状態に陥り、ピアノの先生も匙を投げ、「仕上がり合格印」をもらえないままこの曲は永遠に放置されることになったのでした。
こどもは大人になり、この曲が弾けるようになりました。そして曲のもつ悲しみを抱えて故郷へ戻るようなアンニュイな気持ちが痛いほどわかるようになりました。それにしても冒頭右手のメロディがいきなり3連音符の1拍め抜きという、「おとな」な入り方で、曲の全体の雰囲気を予感させるではありませんか。この曲を「こども」曲集に入れた監修者に異を唱えたい気持ちです。
他に第13曲はストラヴィンスキーが火の鳥に使用したロシア民謡が入っていて素敵です。
この前奏曲はロシア民謡からテーマをとって作られたそうです。私が知っていたのは「火の鳥」で使用された曲(それも「火の鳥」で使われていたから知っていた)だけですが、ロシアの方たちにはどれもなじみのあるメロディばかりなのでしょうか。
収録曲は他にソナチネop.13-1とソナタ第3番op.46。ピアノはマレイ・マクラクラン。
OCD 266 Kabalevsky: piano music. Murray McLachlan |
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