2022年8月28日日曜日

カバレフスキー ピアノ協奏曲 第1番

 カバレフスキーはピアノ協奏曲を4曲書いていますが、第1番は音楽院の学生のうちに作曲されたもので、若い雰囲気を持ち、きっちりと書かれた秀作然としています。

3楽章構成で、第1楽章は管に導かれて逍遥としたメロディが始まり、小川が大河に流れ込むように盛り上がりを見せます。第2テーマはくっきりと抒情的ですが、ロシアっぽさはあまりありません。しかし中間部に向けて徐々にロシア的な雰囲気を盛り上げ、カバレフスキー自身の後のピアノ協奏曲第2番第3楽章のような、オケで最大に盛り上げたところにピアノの旋律をくっきりと鳴らします。第2楽章は変奏曲形式です。メロディにDies Iraeの音型が練り込まれているようですが、それほどはっきりしているわけではありません。中盤以降の葬送行進曲がクライマックスですが、ここでがらりと雰囲気を変えてくるあたりが師のミャスコフスキーに似ています。後に作曲されたレクイエムとは違ってかなり抒情的で、すばらしい葬送行進曲です。第3楽章の始まりも、後のピアノ協奏曲と似ています。第2番の3楽章でしょうか。優等生然としていて、しかし地味ですが、こののちのカバレフスキーを予感させるような、味わい深い素晴らしい作品だと思います。

他に運動会でよくお世話になる組曲「道化師」Op.26、悲劇的序曲Op.64、交響詩「春」Op.65、「学生時代」のテーマによるラプソディOp.75が収録されています。

OLYMPIA OCD 593
Kabalevsky:Piano Concerto No.1; The  Comedians Suite etc.



0 件のコメント:

コメントを投稿