2022年6月26日日曜日

ミャスコフスキー 抒情的小協奏曲op.32-3 / 交響曲第3番

 ミャスコフスキーの抒情的小協奏曲と交響曲第3番です。ミャスコフスキーらしさが味わえる1枚だと思います。

抒情的小協奏曲は1928年ころの作品。3楽章構成で、のどかな美しい風景を思わせるテーマの1楽章と3楽章に挟まれた、暗い2楽章が聴きどころ。Andante monotono とはアンダンテで単調にという指示でしょうか。単調にとは? いくつかの管楽器が交代にメロディを奏で、やがて弦楽器と交代して徐々にクライマックスへと向かうのですが、伴奏の弦楽器が3度ずつの下降音を単調に奏でていく、そこを単調にということでしょうか。淡々とそれでいて不穏な和音の組み合わせで、とても単調にはいられない、いたたまれない気持ちになります。

交響曲第3番は1914年ころの作品で2楽章構成。第1楽章はファンファーレのように始まり、動きのあるテーマと途中にのどかなイメージの牧歌的なテーマが挿入され、暗さの中にも多彩なメロディが高々とうたわれます。生き生きと動きすぎると打楽器がダーンと警告して、しゅーんとしぼみますが、再び動き始めるという、どうしても生きたい気持ちの強い曲ですね。コーダはやや長く、明るく始まり、テーマが長調で静かに流れて消えていくように終わります。

そして第2楽章! ファンファーレのように始まり、ターラリーラタラリラリーというミャスコフスキーらしい「うねうね感」が満載のテーマが始まります。いたるところで「うねうね」させた後、次は雄大な、ロシアの大地を思わせるようなテーマが管楽器で奏でられます。再び冒頭のファンファーレ的なメロディーが鳴らされ、小さくしぼんでぐるぐると渦を巻いたら例の「うねうね」テーマが再び出現します。蛇や龍のような怪物があちこちの空中で渦を巻いているように見えるのですよね…。そしてコーダです。いよいよ終わるのかと思いきや、この「うねうね」メロディのコーダでの扱いがもうこれでもかというばかりに長々と続き、いつまでもこと切れない。巨大な怪物がのたうちまわっていて、いつまでも苦しみ悶えているようなのです。息の長いメロディを書かせたら右に出るものはいないと思われるミャスコフスキーの面目躍如です。しつこい。すばらしい。これを聴きながら、終わることのない悲しみと苦しみに思いを馳せることになります。もう一度言います。コーダのしつこさがすばらしい!

OLYMPIA OCD 177
Myaskovsky    Lyric concertino op.32-3    Symphony no.3


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