ビンゲンのヒルデガルト。修道女、修道院長、薬草学の著作家、作曲家、預言者、幻視者。
900年前の人々がどんな暮らしをしていたのかはわからないけれども、今より大地も空も水も緑も人々の暮らしに身近にあったことは確かでしょう。夜になれば闇の世界、明るさは太陽の光が頼り。蝋燭の明るさなど微々たるもの。自然が人に対して圧倒的に優位な世界。
今でもおそらく自然は人にたくさん話しかけているのだろうけど、人の方の受容器の感受性が鈍くなってしまったのだろうか。昔は「神の声」を聴く人が多かったのでしょう。
それにしてもヒルデガルトの幻視の絵画を見たことがありますが、完全にキリスト教世界です。羽のついた人、羽と顔だけの人、羽についたおびただしい数の目。キリスト教世界で暮らしているからこういった幻視なのか、見たものはもっと漠然としたものだけど、絵に写す時点で何らかのフィルターがかかってしまうのか。同様のことは仏教世界の絵にも言えますね。人は理解不能なものをそのまま写し取ることはできないのでしょうか。
美醜を超えた何か尊い存在、静謐な世界、そういったものを感じられる1枚です。
NAXOS 8.550998 |
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